時代劇「大忠臣蔵」 第31回「男の盟約」
三船敏郎主演。豪華キャスト全52話で放送された民放初の大河ドラマ【1971年】▽途中「天気予報」あり
8月20日 水曜 8:30 -9:30 tvk1
大坂北組惣年寄を務める蔵元天野屋利兵衛。算盤の化け物と渾名される男が突然に山科を訪れた。浅野本家の塩商いを仲介してほしいと頼みに来たのである。算盤の合わない限り動かない天野屋、だが大石は武器調達をこの男に頼もうと決める。歌舞伎十段目でお馴染み、天野屋義平のモデル、伝説の大坂商人と大石との親交を描く。
“静”である内蔵助が悲願を達成するために自己の意志を心の奥深く秘める事によって、すべての事件やドラマが展開され進行していった従来の忠臣蔵に対して、この「大忠臣蔵」は“動”の三船・内蔵助によって、すべての事件ドラマが展開され進行していく。
内匠頭の私怨による刃傷と、内蔵助の吉良を討つ目的が、主君の仇討ちと片手落ちの政治に対する反発というだけではなく、武門の伝統を守るために世をあげて文弱に赴き剛穀廉潔の風潮のすたれるのに抗したのだとすれば内匠頭のこの悲願は、堅く心の絆で結ばれた赤穂浪士の心に通じ、元禄という時代が咲かせた華奢な形式の武士道、虚礼に扮飾された武士道に抗して滅びようとしている素朴な精神の武士道を世に訴えることでもある。
忠臣蔵は日本人の最も愛好する物語であろう。仇討ちのために、あらゆる苦難に耐えた義士たちの言行は、昔から多くの日本人の心情をゆさぶり続けてきたといえるであろう。