テレビ寺子屋

ドキュメンタリー/教養

テレビ寺子屋

師匠・立川談志から浴び続けた小言には全て教えがあった。落語家・立川談慶さんに学ぶ、自分の人生の役に立つ「究極の気づかい」のお話です。

9月13日 土曜 4:52 -5:22 フジテレビ

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25歳の時に立川談志の18番目の弟子として入門しました。師匠は理論派で「俺は学校の先生じゃないから教えはしない。小言でモノを言う」って言うんです。つまり師匠の小言をどうクリアし、自分のエキスとして携えていくかが修行というわけです。 師匠の元には出版社や作家から多くの献本が届きます。ある日、師匠から「これお前にやる」と、本を五、六冊もらいました。私も忙しく「適当に読めばいいや」と、放っておいた。
そしたら次の日、師匠から「あれ、何書いてあった?」と聞かれて。慌てて「これから読みます」と答えたら、師匠は「分かった分かった。いい、その辺で遊んでろ」って。これは怖い小言ですよ。「お前は俺から与えられたメッセージを無下にするんだな、わかった何もするな。お前その辺で遊んでろ」ってことですから。その日は徹夜も同然で本のあらすじを全部レポートにまとめて、次の日伝えることで、なんとかリカバリーできました。
それ以来、私は師匠の献本担当。この修行のおかげで私は今、著述家として27冊もの本を書くことができているわけです。 『気づかい』を突き詰めると、結局自分の役に立つ。師匠から言われた無茶ぶり、そしてこれに応えるための究極の気づかいが、今の自分を作っているということです。前座修行に9年半もかかってしまったんですが、これも見方を変えたら談志からの気遣いだったんじゃないかと思うわけです。

  • 出演者

    【講師】 立川談慶(落語家)  【司会】 北村花絵(テレビ静岡アナウンサー)  【手話通訳】 石川ありす